田上の次の農産物に「雪下ねぎ」を。
佐藤農園9代目代表が積み重ねてきた信頼と新たな挑戦

 



口に入れると「ジュワ〜」と長ネギの旨みが口のなかに広がっていく。

独特の臭みはなく、今まで食べてきた長ネギよりも甘みが強い感覚。それは鍋にいれても、焼いても、煮ても変わらない味わい。

そんな甘みのある雪下ねぎをつくる田上町の佐藤農園にお邪魔して、雪下ねぎをつくるようになった経緯と美味しさの秘訣、田上が誇る農産物について詳しく話を聞いてきました。




甘みと旨みが凝縮された佐藤農園の「雪下ねぎ」
 

 

1月中旬、取材をお願いし、呼び出された場所は、雪に覆われた田んぼの真ん中。真っ白な世界のどこに長ネギが埋まっているのだろう?そんなことを考えていると、一台のワゴン車がやってきました。
 
今回取材に応じてくださった佐藤農園の佐藤潤一さんです。
 
「いや〜、お待たせしました!」
 
元気な声でこちらにきた佐藤さんは簡単な挨拶だけ済ますと、雪に覆われた畦道を進む。すると、一部分だけ雪が掘られている部分がありました。

 

 

 

「こうやって、雪を掘ってその下に植わった長ネギを収穫していくんです。今年(2021年)みたいにたくさん降ると大変ですよ」と佐藤さん。

従業員のうち2人が雪かきをして、他の3名が長ネギを収穫する。雪が降る前に収穫すれば雪かきをする手間もないのですが、佐藤さんは従来の長ネギにより甘みと旨みを出すために雪下にしばらく置いておくそうです。
 

 

 

 

雪の下にある長ネギは、凍らないように極限まで糖分を蓄え、さらに佐藤さんの長ネギは収穫せずに土に植えたままなので、土から水分を補給しています。そのため、みずみずしさはそのまま、甘くとろっとしたねぎとなるそうです。

 




 

冬の収入源を確保したい。難しいと言われながら「雪下ねぎ」に挑戦

 

 

今回取材に応じてくださ佐藤農園の佐藤潤一さんは、稲作を中心に、長ネギや里芋、桃、梅、タケノコ等を栽培する田上町の農家のひとり。収穫した米や野菜は、JAに卸すだけでなく、「道の駅たがみ」や契約先のスーパー、レストランなど独自のルートも確保。直接佐藤さんの家に買いにくる人もいるほど、ファンの多い農家さんです。

 


 

今や佐藤さんの「雪下ねぎ」は定番になりましたが、実は佐藤さんが長ネギをつくるようになったのは、2015年ころ。

それまでは冬に栽培できるものが少なく、収入が減ってしまうことが課題でした。そこをなんとかカバーできないかとずっと悩んでいたところ、たまたま出向いたのが、JA青年部として参加したJAの全国会議でした。そこで秋田県の代表が雪下ねぎについて話しているのを聞き、「田上町も雪は降るし、これならうちでもできるのでは?」と、雪下ねぎをやってみることにしたそうです。

 

 


「ただ、最初は周りの農家さんから反対されました。反対というか、いや無理だよと諭されたというか(笑)帰ってきて、まず田上町で長ネギをつくっている農家さんに雪下ねぎをつくりたいんだと話に行ったのですが、見た目も悪くなるし、難しいよと。それでも、諦めたくなかったので、でもやりますねと言って帰ってきました」



そこから、佐藤さんの孤独な闘いが始まります。従来の畑は埋まっていたので、耕作放棄地となっていた田んぼを使って長ネギ畑をつくることに。しかし、長ネギは水が苦手。水稲の土との相性はよくありませんでした。それでも、水分を抜く大掛かりな工事をして、土を整え、何とか土壌を整えます。





こうやって始まった1年目。驚くべきことに、甘くてしっかりとした太さの長ネギができたのです。しかも、畑での栽培ではないので、他の野菜からくる虫もいない。通常の野菜と比べ、1/10以下の農薬量で長ネギをつくることに成功しました。水分さえ抜いてしまえば、土壌との相性もいいのか、見た目も甘さも上々の出来栄えでした。


▲道の駅たがみでは、冬の一部期間は入り口入ってすぐに長ネギコーナーを設置



佐藤農園の長ネギは、10月末〜3月いっぱいまで。秋に必要な分だけ収穫、冬は甘みのある長ネギを雪下から収穫。こうして、以前から課題だった冬の収入源を確保できるようになりました。


 

 

冬の野菜といえば、もうひとつ。佐藤農園では、里芋もたくさん栽培しています。里芋は土のなかに入れておくと悪くなるため、秋のうちに収穫して、7〜8℃以下にならない様に保管。傷つきやすい野菜なため、一つひとつ手作業できれいにして出荷しています。
 
新潟県民はのっぺい汁に里芋を使うので、大ぶりの芋が好まれるのだとか。小ぶりの里芋は、茹でて塩をつけていただくだけで、里芋本来の甘みが際立つそうです。



 

 

佐藤農園の主品目。雑味がなく、本来の米に近いコシヒカリ

 

そもそも佐藤農園は、米農家。佐藤家としては潤一さんで9代目ですが、本格的に農業を始めたのは祖父の代からでした。昭和40〜50年代にJA主導で田上町を米と桃の産地にしようと動き出したことがきっかけだったそうです。こうして、集落を超えた農家同士のつながりが生まれていきました。


 

 

田上町で最も旨みのある米ができるといわれているのが、才勝川(さいかちがわ)周辺の田んぼ。小粒だが、雑味がなく、米本来の味に近いといわれています。米は、水稲と書くくらい水が好きな植物。才勝川の湧水が、おいしい米の重要な役目を担っているのです。
 
そんな才勝川の近くで収穫された佐藤さんの米は、「燕三条イタリアンBit」の新潟店と銀座店に卸されているそう。創業当時からやりとりをしていたこともあり、レストランの目玉商品TKG(=たまごかけごはん)の米にも使われています。3月には伊勢丹の新店舗でも食べられるんだとか。

 


こうした高い評価が重なり、2020年秋に収穫した米から、湯田上温泉の宿でも使われることになりました。佐藤さんにとっては料理のプロが認めた味として地元の宿で出せるようになり、思いもひとしおです。さらに、2020年秋からはジャカルタにも輸出。国内だけでなく、海外にもどんどん挑戦していきたいと意気込みを見せてくれました。


 

田上の名産3品目といえば?タケノコ・梅・桃も栽培
 

田上町の農産物の名産といえば、タケノコと梅、そして桃です。佐藤さんはそのすべてを収穫し、出荷しています。

 

 

 

まだ寒さが残る3月〜4月、朝の4時から佐藤家の竹林に入り、タケノコを1本ずつ丁寧に収穫していきます。田上町のタケノコは、土壌に恵まれているため、アクとエグみが少なく、香りがいいそう。佐藤さんのおばあさまは、タケノコを担いで電車に乗って長岡まで売りに行っていたのだとか。しかも、1回では足りずに一度田上町に戻り、また長岡へ行く日も。それだけ、多くの人に愛されてきたことを物語るエピソードです。



その後、田植えシーズンを挟み、6月頃に収穫が始まるのが、梅。県内2番目の産地で、町内の9割以上で生産されるのが、「越の梅」です。種が小さく、肉厚な実が特徴で、梅干しにするのに適しているそうです。





田上町の名産品で忘れてはいけないのが、桃。実は、田上町では桃を山の傾斜で栽培しているそうです。佐藤さんの桃の木も山手側。その理由を問うと、合理的な理由を教えてくれました。
 
「桃はたくさん雨が降ると、必要以上の水分を木が吸収し、糖分が少なくなるといわれています。しかし、傾斜があれば、自然と雨水が流れる。そうすると、必要な分だけ吸収するので、甘くておいしい桃ができるんです」
 
といっても、田上町の桃を市場で見かけることはあまりないような……。その理由は、近所の人や紹介などでほとんど買われてしまうからだそう。佐藤さんのお客さんも「田上の桃はやめられないね」と毎年リピートして買ってくださる方も多いそうですよ。それほど貴重な桃と聞くと、ついつい食べたくなってしまいますよね。




これからも信頼され続ける農家になるために



長ネギや里芋の安定供給が可能となり、年間安定して出荷をする年間農業は達成した佐藤農園。今後は、少しずつ面積を増やしていきたいと意気込みます。

「いまはJAや県などの団体が、後押ししてくれる傾向が強い。そうした外部の力も借りながら、従業員を増やしていければと思っています。ただ、忘れてはいけないことは、農業は信用の上に成り立っているということ。佐藤さんがつくったものなら、おいしいはずだ。と思ってくれる人としっかりとコミュニケーションをとってやっていきたいですね」

地元のお得意さん、目に見える飲食店や個人店、もちろんJAだって、一人ひとりのお客様と向き合ってきたから、米と野菜にとっての最善を常に考えてきたからこそ、いま佐藤さんの身の回りには「佐藤さんの野菜ならおいしいはずだ」と買ってくれるお客さんがたくさんいます。

人に、農産物に、誠実に向き合い続ける。そこから、信頼も挑戦も始まるのかもしれません。





そんな佐藤さんの農作物は、道の駅たがみで購入できるほか、たがみ食堂でも一部佐藤さんの米や野菜を使っています。季節により、置かれる野菜は異なりますが、旬の野菜がおかれる予定なので、ぜひ覗いてみてくださいね。


 

Information

佐藤農園
住所:南蒲原郡田上町大字田上丁2362
電話:070-4495-1171


 




町全体でつくる伝統工芸・桐タンスの可能性。茂野タンス店が見据える「道の駅たがみ」への想い



茂野タンス店1

 

「トントントン」

 

道の駅たがみから徒歩5分、落ち着いた風情の街なみから聞こえてくるのは手仕事の音。

 

古くから日本人の暮らしと結びついた「タンス(?笥)」。江戸時代後期から明治時代よりタンスは備え付けられ、身近な日用品として親しまわれてきました。

 

そんなタンスのうち、桐の木を素材に加工された桐タンスは、田上町のお隣・加茂市が全国産地で生産7割を占めていますが、田上町にも桐工房、そしてつくり手たちはいます。

 

今回、お邪魔させてもらったのは1926年創業し、1977年から加茂市から移転してきた有限会社茂野タンス店(以後、茂野タンス店)。道の駅たがみでは、県内外の工芸品とともに茂野タンス店がつくられた定番商品の桐カード立てが置かれています。

 

茂野タンス店2

▲(左)桐カード立て大、(右)桐カード立て小

 

 

出迎えてくれた茂野タンス店代表の茂野克司さん(以後、茂野さん)に促されるまま店内に入ると、コースターやトレー、ティッシュBOXなどの桐をつかった小物が目に入ります。桐というと、桐タンスのイメージが先行してしまいますが、実は小物にも桐をつかって製作しています。

 

 

茂野タンス店3

 

茂野さんはタンス以外の小物の製作に早くから取り組み、デザイナーとコラボしたモダンな桐タンス製作にも挑戦をしてきた第一人者のひとりです。

 

 

茂野タンス店4

▲店内には桐をつかったおもちゃも。桐は軽いので、小さなお子さんにも安心ですね。

 

 

今回は、そんな桐の可能性を追い求め、伝統的な桐タンスだけでなく、新たな商品開発にも取り組む、茂野さんに桐の魅力や桐タンスの可能性、田上町との関係性について伺ってきました。

 

 

 

日本の伝統文化と言わしめる 桐タンスのうつくしさ

 

茂野タンス店5

 

 

茂野克司(しげのかつじ)
 
有限会社茂野タンス店 代表取締役 / 加茂桐箪笥協同組合 副理事長
1926年に創業した有限会社茂野タンス店の3代目として、1996年に代表就任。大学でデザインを学び、桐タンスの営業を経験した観点から、伝統的な桐タンスに現代的なデザインを取り入れた「モダン桐家具シリーズ」を発表。2003年より、イタリアやドイツ、フランスなどで開催された国際家具見本市に出品し、高い評価を受ける。

 

 

 

田上町といえば竹炭や梅、それぞれ研究と加工技術が進み、第6次産業へのあらたな兆しがみえる地域。そんな自然豊かな田上町では、手工芸の文化が根強く残っていて、とくに桐タンスの製造と販売が盛んです。

 

桐タンスの町とうたう加茂市に次いで、町内6件の桐タンス屋とひとり親方として現在も製造に関わるつくり手たち。新潟市からもほどよく近い、地の利がある土地で職人たちは金槌を叩き、かんなを削る手もどこか軽やかに。懐かしく心地がよい音が工房から聞こえてきます。

 

茂野タンス店6


 

田上町の地場産業といえる桐タンス、さらにモダン桐家具をも製造し、桐の木の評価を高める一人が、今回話し手の茂野タンス店代表の茂野さんです。
 

 

「桐タンスの素材となる桐の木は、日本で一番軽い木でかつ成長も早くてね。草に限りなく近い木と同じようなもの、なんて呼ばれています。近年、桐の木の研究が進み、植物のDNAによる分類法の結果からあたらしくキリ科が誕生しました。世界的にも珍しい木です」(茂野)

 

現在、流通が少なくなった国内産の桐の木も揃えた工房内で、これまでの桐タンスについて教えてもらいました。
 

 

茂野タンス店7

 

 

イタリアで感じた 桐タンスのあたらしい可能性

 

日本では300年近く前、江戸の大火から家財を守るために桐タンスは普及していった一方で、ヨーロッパでは桐の木が分布していたものの木材として活用されていませんでした。

 

他の原木に比べて柔らかくて軽いゆえに加工するむずかしさ。だから、桐の木をつかった桐タンスをみたイタリアの職人たちは、そのうつくしさに驚くほど。

 

茂野タンス店8

 

 

こうした、桐タンスの認知と日本の伝統工芸として海外でも評価されはじめたのはつい最近のことだそう。その先駆けとなったのは茂野さん。2001年当時、はじめて訪れたイタリアミラノに国際家具見本市へ、それを皮切りに約10年間イタリアの他にドイツやフランス、上海の見本市へと足を運びました。

 

 

「桐タンスを海外に輸出していこうと考えていたのは、当時だと私ぐらいでしたね。しかも驚いたのは、国際家具見本市には桐タンスがなかった。だから、海外の方たちはそもそも桐の木も知らない。

 

そんな状況下で、私たちと通訳で海外の方たちに桐タンスを見てもらい、素材は、強度は、と桐の木についても質問をもらい、英語で伝えていきましたね」(茂野)
 

茂野タンス店9

 

 

田上町だからできる、環境にやさしいシステムづくり

 

 

茂野さんは、さらに同じ年から取り組んできたのが近代的なデザインを加えた桐タンスづくりへの挑戦。かつて、成し遂げられなかった伝統デザインの崩しの答えであり、そのきっかけをつくったのが液晶テレビのAQUOSなど数々のプロダクトを手がけてきた家具デザイナー喜多俊之さんとの出会いでした。

 

喜多さんとつくりあげた現代に通じる桐タンスは、昨今海外や日本でも一般化された洋式のお家にも家具として合わすことができる品物。茂野タンス店では、モダン桐家具シリーズへと進化し、これまで固執してきたタンスという型から桐本来の素材に着目し、日用品づかいができる椅子やテーブル、小物へと製作の幅を広げていきます。
 

茂野タンス店3

 

 

近年、茂野タンス店では田上町の事業者と連携し、環境に配慮した試みをはじめています。

 

たとえば、これまで燃やしてきた桐タンスの製造過程でできるおかくずを、同じく田上町で養豚所を営む方たちに手渡して、豚や牛の排泄物と混ぜ、天然の肥料をつくります。その肥料は、町内の農家たちが畑の土となる仕組みです。

 

茂野タンス店と養豚所、そして農家に、畑でつくられた野菜や果物を食べる私たち。自然にやさしく、それぞれによいことを実践して町全体へと波及させていく。そんな茂野さんからみた田上町とはどんな街だろう。

 

茂野タンス店11


 

田上町は自分たちの街だと思う

 

 

加茂市で生まれ、人生の半分以上を田上町で過ごすことに対して「(加茂市と)境目はないし、自分の街と思える」という感覚があるからだそう。

 

「田上町と加茂市は、市民性が近いものを感じていまして。大人しいけど、職人や芸術家気質な人たちが多い。この2つの街の生活圏もほぼ同じで、加茂桐箪笥協同組合のメーカー(うち加茂市:10件、田上町:6件)の大半を占めていますし」(茂野)

 

茂野タンス店で働く若手職人もまた、「これからの田上町、そして道の駅はどうすべきか」とコンセプトなどを決めていく審議委員会のメンバーに加わり、定期的に意見を交わしてきました。

 

 

茂野タンス店12

 

「審議委員会には、田上町で住むひとや働くひとたちから選ばれたそうで、うちの若手職人がそのひとりとして参加しました。もう5、6回かな、話し合っていくうちに田上町の町民にこそ道の駅をまず楽しんでほしい。そう決まったようです。

 

 

内側からたのしんで、その姿を町外へと。うちの職人も、若手と呼ばれる方たちがきっかけをつくることこそが、田上町に、道の駅に、(多層となる)色を生み出していくはずです」(茂野)

 

町内で脈々で受け継がれる技術と可能性。茂野さんのお話を聞いて、固定概念に縛られないアイデアの重要性と、工場のある田上町への思いを感じることができました。

 

そんな風に少しずつ変わりつつある田上町。その変化の過程を道の駅たがみでぜひ体験してみてくださいね。

 

さらに、これから地元の名物として「やさしい道の駅たがみ特製の砂時計」を販売する予定です。茂野タンス店は木台を担当し、軽く柔らかい桐で持ち運びにも便利な「やさしい砂時計」が誕生しました。2021年1月に道の駅たがみで販売する予定なので、楽しみにしていてくださいね。


 

 

Information

 

有限会社茂野タンス店(しげのたんすてん) / 桐工房SHIGENO
WEBサイト:https://www.kamono.com 
住所:新潟県南蒲原郡田上町原ケ崎新田30-1
電話:0256-57-3610
営業時間:平日 8:00〜17:00(土曜日・日曜日・祝日 : 要予約)
 


 

 

 

タヌキのキャラクターのラスク!? 50年以上も地元民に親しまれる「小柳菓子店」


団九郎のカステラスク

 

道の駅たがみから車で約5分、JR田上駅から歩いて10分ほどの国道403号線沿いにある「小柳菓子店」。約50年前にお店を始めて以来、地域の憩いの場所にもなっているお店です。

 

店内には昔ながらのお菓子も並ぶ

 

店内に足を踏み入れると、まず目に入ってくるのは、和菓子や洋菓子などおいしそうなお菓子の数々。ショーウィンドウの中には月餅やおまんじゅう、マドレーヌなど懐かしいお菓子が並べられています。

 

 

 

ウィンドウを眺めていると、何やらタヌキのようなキャラクターの焼印が押されたお菓子が……。カステラをラスクにした商品で、キャラクターは護摩堂山にいるタヌキをモチーフに作られた「団九郎(だんくろう)」という名前なんだとか。夏祭りにお祭りのキャラクターとして作られたのが始まりで、今では「ごまどう湯っ多里館」に団九郎像があるそうです。
 

さっそく口に入れると、サクッと心地よい音が。一般的なラスクよりもしっとりとしていて、パウンドケーキとラスクの中間地点のような食感。マーガリンをたっぷりと使っているからか、ほんのりした甘さがあります。日持ちもするので、ちょっとした贈り物にも良さそうですね。

 

 

あじさい饅頭

 

昔ながらの人気商品は、おまんじゅう。湯田上温泉でも買える温泉まんじゅうは、黒糖皮の中にこしあんがたっぷり入っているそう。そんな根強い人気を誇る温泉まんじゅうを道の駅開設に合わせてリメイクしたのが、「あじさい饅頭」。護摩堂山のあじさいをイメージして作られたおまんじゅうです。こちらは道の駅たがみで購入できるので、ぜひお買い求めください。

 

店内のようす

 

入店早々、美味しそうなお菓子に目を奪われていましたが、ふと左を向くとスーパーマーケットに置いてありそうな米菓が。右を向くと、カレールーや砂糖、トイレットペーパーや洗剤まで…!お菓子屋さんで生活必需品を見る日が来るとは思いませんでした(笑)
 

なぜお菓子屋さんなのに生活必需品まで置いてあるのか。店主の小柳智衛(ともえい)さんと、息子の寿栄(としえい)さんにお話を聞いてみました。
 

当初は純粋な和菓子屋だった小柳菓子店。次第に地域のお客さんが増えてくると商品の幅が少しずつ増えていったといいます。

 

店内の様子

 

「50年くらい前にお店を始めたんだけどさ、地域に住む人たちがあれも置いてこれも置いてというのを聞いていたら気づいたらこんなになっちゃった(笑)」。お店を立ち上げた智衛さんは笑いながら経緯を教えてくれました。昔は裏に近隣住民が集まる銭湯があり、お店でもお茶を飲んでゆっくりできるスペースも設けていたそう。温泉と共に住民にとっての憩いの場でもあったのかもしれないですね。

 

手づくりのパンも販売

 

その後、息子の寿栄さんが洋菓子職人としてお店に入るとマドレーヌやパウンドケーキ、ラスクなどバリエーションも豊かになっていきました。団九郎が描かれたラスクを考案したのも寿栄さん。長崎カステラのラスクを見たときに「カステラがいけるなら、パウンドケーキもいけるのでは?」と思って作ったのがきっかけ。お子さん連れのご家族がよく買って帰られるそうです。
 

お店の歴史や商品についてたくさん教えてくれたお二人ですが、残念ながら写真はNG。とってもやさしい方なので、ぜひ足を運んでお話ししてみてくださいね!

 

 

◎道の駅たがみで購入できる商品
・あじさい饅頭
・団九郎のカステラスク

 

 

 

 

 

Information

小柳菓子店


小柳菓子店
住所:南蒲原郡田上町大字田上丙1205-3
電話:0256-57-2339
営業時間:8:00〜19:00
定休日:6日・16日・26日

 

 

 

 

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